シミを解決したい

シミ抜き：究極の裏ワザ

あれは10年以上前の話。そのお客様は、白いブラウスを持って相談に見えました。
お話を聞くと … ブラウスに茶色いシミがついていたそうです。

そのお客様は何をしたかというと・・・なんと事務用の「修正液」でシミを塗ったそうです！！

いやはや、これには驚きました！もはや裏ワザとかそんなレベルではありません。
我々クリーニング業界の人間には、絶対に思いつかない方法です。

そして、こんな事を考えつく人は世界に一人だけだろう・・・と思っていました。
でも世界は私が知っているよりもずっと広くて深いのです。
今度は別の方が、白いパンツについた茶色いシミを、やはり修正液で塗って持ってきました。

もう頭がクラクラしそうです（苦笑）。

どうやら考え方を変えなければいけないのは、お客様ではなく私のようです。「世の中は自分が知っているよりも、はるかに多様でユニークなのだ」と。

当店では、「修正液以外の解決方法」　を希望されるお客様を【特に歓迎】いたします。

※ちなみに、ブラウスのシミは落ちましたが、修正液は落ちませんでした。パンツはシミは落ちなくて、修正液は落ちました。
世の中そんなにうまくはいかないものです。参考までに。

シミがついたらやってはいけない事

（1）まず絶対に避けてほしいのが『タオル等で横に擦る』ことです。これをやると繊維が毛羽立ち、そこだけ白っぽくなります。
こうなるとクリーニングでは解決できません。コーヒーやワインがこぼれたら、タオルで上下から抑えて、水分を吸い取らせるだけに留めてください。

（2）次に『素人判断の処置をしない』ということです。例えば、いきなり漂白剤に漬ける、お湯で洗う、などの処置です。しみ抜きの基本的な処理は

Ａ：油性処理
Ｂ：水溶性処理
Ｃ：タンパク処理
Ｄ：漂白処理

という順序があります。この順序を踏まないと、落ちるシミも落ちなくなります。もちろん失敗してもあきらめがつく服であれば、ご自身で色々と試行錯誤してみるのもそれはそれで大事な勉強です。自己責任で幾らでも試してみてもいいでしょう。
でも、あきらめがつかない大切な服、あるいは高価な服でしたら、最初から信頼できるプロにおまかせいただくのがベターかと思います。信頼できるお店を持っているというのは、クリーニングに限らず何かと大切な事ではないでしょうか。

シミ抜きの料金について

当店のしみ抜きには3段階あります

Ａ：　しみ抜きはせずクリーニングのみ　代金０円
Ｂ：　本当に基本的なしみ抜き　　　　　０円～500円以内
Ｃ：　2,000円を上限として落ちるまで　０円～2,000円

シミ抜きには定価というものはありません。
例えばワイシャツの襟に口紅が・・・いや、これは不適切な例えですね（当店ではお客様の秘密は厳守します）
で、では・・セーターの袖にコーヒーのシミがついたと仮定しましょう。この場合は

・昨日ついたのか、昨シーズンのものなのか
・ウールのセーターか、綿のセーターか
・自分で何か処置したか、何もさわらずに持ってきたか
・白無地のセーターか、色柄物のセーターか
・コーヒーはブラックか、クリームが入っていたか

といった情報をいただけると、大変スムーズにしみ抜きに取り掛かれます。
例えばコーヒーはタンニン系のシミですが、そこにクリームが入ると、タンニンの処置とは別にタンパク質の処理が必要になります（牛乳はタンパクですからね）。
あるいは、綿のセーターは漂白可能です。でもウールは基本的に漂白不可です。漂白以外の方法を模索しなければなりません。

このようにコーヒーひとつとっても、それぞれの条件でしみ抜きの方法や手間は全く異なります。そもそもしみ抜きは完全に「手作業」であり、機械化のできない分野です。最小限の手間（この場合はゼロ円）で落ちるものもあるし、処置に一週間以上かかるシミもあります。それで一律に定価を設定することはちょっと無理なのです。

一番返事に困るのは、電話でしみ抜き料金をお問い合わせいただく事です。

例えば、病院に電話して「おたくの病院は、風邪を治すのに幾らかかるの？」と訊く人はいないでしょう。そもそも診察もせずにそんなことが解るはずもありませんね。

そう、我々クリーニング業も全く同様です。そして当店は「衣類のドクター」であり、しみ抜きは医療行為で言えば「手術」に該当します。現物を見ずに（診察もせずに）見積もりを出すことはできません。お電話では「現物を見ないとわかりません」としか返事のしようがありません。
本当に大切な衣類であれば、面倒でもきちんとした経緯を経てご依頼いただくことが最上の結果に繋がると思われます。
それができない方は、他店にご相談ください。
ご検討いただければ幸いです。